2010 Fiscal Year Annual Research Report
英国都市環境教育における「教育資源」の編成理論と教育の実践理論についての研究
Project/Area Number |
09J05175
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三谷 高史 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イギリス / 環境教育 / 教育思想 |
Research Abstract |
22年度(4月~6月末)に実施した研究概要は以下のとおりである。 〈4月~5月〉 イギリス都市環境教育運動の思想・哲学の担い手であるコリン・ウォードの問題意識、とりわけ彼が1960年代当時の子どもと環境との関係をどのように把握し、評価していたのか、というテーマについて分析をおこなった。なかでも都市空間で生活する子どもたちへの関心を中心に取り上げ、環境教育の目標や方法・内容の基盤を形成している思想を、その源流をたどりながら検討している。 環境教育研究にとって思想や哲学は主要な研究対象ではなかったが、今回、都市環境教育の独特なセオリーの基盤にある思想(脱学校論・アナキズム地理学など)を、そのセオリーのかたちを説明するために検討した。また、英国環境教育のパイオニアとされるパトリック・ゲディスの環境教育論との比較検討も試みた。セオリーのかたちとしては共通する部分は多くあるが、人間と環境とのかかわりをめぐるポリティクスへの態度が異なっており、イデオロギー的差異を確認した。ゲディスの生きた19世紀末、ウォードの生きた1960年代では人間と環境とのかかわりと社会、国家との関係はきわめて異なっており(前者は福祉国家の生成期であり、後者はポストモダニズムなど様々な立場からその再編が求められた時期であった)、その違いがイデオロギーにも反映され、セオリーのかたちの差異にもつながっているものと理解した。 〈6月〉 上記の内容を文章化し、投稿論文とする作業を進めた。
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