2011 Fiscal Year Annual Research Report
英国都市環境教育における「教育資源」の編成理論と教育の実践理論についての研究
Project/Area Number |
09J05175
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三谷 高史 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 環境教育 / 都市計画 / 教育資源 / 教育施設 / 英国 |
Research Abstract |
平成23年度はハマースミス&フラム区にあるアーバン・スタディズ・センターとローカルヒストリーアーカイブスでの資料収集、さらにアーバン・スタディズ・センターが関わっている環境教育実践(コミュニティガーデンでの実践)の撮影を行った。この調査を含め、これまで収集した文字資料・データを基に英国都市環境教育の教育的価値、教育目標、教育内容・方法、「教育資源」の編成理論を析出した。 その上で「英国都市環境教育論」の理論構造と社会的文脈との関係について検討した。教育的価値、教育目標、教育内容・方法、「教育資源」の編成理論それぞれの領域において、当時の英国、さらには環境教育の国際的動向との関連の一端を明らかにした。 英国都市環境教育の実践が盛んであった1970年代には、環境教育に関する国際会議が開催され、環境教育に関わる国際宣言も出されている。同時代的であった英国都市環境教育と国際的に議論され、一般化・概念化されていった環境教育と比較してみると、教育目標や教育内容・方法といった領域ではいくつかの共通点を見出すことができる。しかし、教育的価値においては英国都市環境教育の特殊性は際立っていた。さらに「教育資源」の編成理論に関しては、国際的な議論の俎上にも登っていない。英国都市環境教育を特徴付けていた教育的価値と「教育資源」の編成理論がどのような社会的文脈の中からせり上がってきたのか、その検討が本研究の核心であった。「教育資源」の編成という営為自体は英国都市環境教育に限ったことではなく、他の国や地域(例えば日本の公害教育運動)でもみられるものである。それゆえ、本研究の視点は、環境教育の比較研究のための基礎作業にもなっていると思われる。
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