2011 Fiscal Year Annual Research Report
近世日本の改革政治と為政者像―大名明君像の政治史的研究―
Project/Area Number |
09J05176
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小関 悠一郎 東北大学, 東北アジア研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 明君録・明君像 / 上杉鷹山 / 米沢藩 / 細川重賢 / 学問と政治 / 藩政改革 / 政治意識 / 書物・学問 |
Research Abstract |
本研究の課題〔(1)明君録の受容と明君像の政治的・社会的役割の解明、(2)近世日本における為政者・武士層の学問受容と政治実践の関係解明、および地域リーダー・民間人の政治意識解明〕に関する資料調査・研究を前年度に引き続いて実行した。(1)に関しては、全国各地に残る明君録の悉皆調査を継続し、(2)については、主たるフィールドである米沢藩領において丹念な実地の資料調査を継続して行った。 本年度は、これによる本研究の調査・研究結果をまとめる作業を行い、その成果を、単著(『<明君>の近世-学問・知識と藩政改革』)として、2012年6月に吉川弘文館から公刊することが決定した。同書は、これまで主たるフィールドとしてきた米沢藩の藩政改革に関与した人々の学問受容と意識・思想、そこから生み出された明君像を主な考察対象として、三年間の研究の成果を活かし、現在に至る研究蓄積を一書にまとめたものである。 とりわけ、三年間にわたる本研究で模索してきた方法-近世の政治改革に関与した諸主体における書物・学問受容の解明を軸にして改革政治の展開を叙述する方法、明君録の写本の悉皆調査に基づいて近世の政治理念や政策と人びとの関わりを明らかにする方法を整理・確立できたことは、大きな収穫であった。こうした方法によって、近現代に至る人々の歴史意識や自己認識のあり方をも射程に入れつつ、いわゆる中期藩政改革を「近世化」という視点から論じた同書の議論は、新しい藩政改革研究として意義のあるものであると考えている。
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Research Products
(2 results)