2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌細胞におけるシグナル伝達ダイナミクスのリン酸化プロテオーム解析
Project/Area Number |
09J05184
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今見 考志 Keio University, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リン酸化プロテオミクス / シグナル伝達 / 乳癌細胞 / SILAC法 / 質量分析計 / プロテオーム |
Research Abstract |
安定同位体アミノ酸培養標識法(SILAC法)に基づく簡便且つ細胞種・培養条件による制限を受けない普遍的な定量法(二重標識SILAC法)を確立し、定量的リン酸化プロテオーム解析に応用した。本法が従来法と異なる点は、透析血清ではなく通常血清を用いて培養を行う点、比較したい細胞群の両方を異なる質量を有する安定同位体アミノ酸で標識する点であり、その他の操作は従来法と同様である。開発した新規定量法は、これまで問題とされていた(1)透析血清使用による細胞への影響、(2)不完全標識細胞の定量、(3)アルギニンのプロリンへの変換に関する問題を同時に解決することができる優れた手法であることを示した。特に本研究では、従来法に従って透析血清で細胞培養することで細胞のプロテオーム・リン酸化プロテオームの発現プロファイルを変化させてしまうことを初めて定量的に示し、透析血清を使用しない二重標識SILAC法の有用性を示した。さらに、本法を用いて乳癌細胞をラパチニブ(EGFR/HER2キナーゼ阻害薬)で処理した際に誘導されるリン酸化応答を定量した。その結果、薬剤標的分子下流に位置するタンパク質のリン酸化応答は、従来法での定量値とは異なるものであった。これは両条件において、薬剤阻害濃度が異なっていることや、異なるシグナル伝達システムが働いていることを示唆しており、細胞を用いた一般的な薬効評価と同じ条件で定量可能な本法は有効な定量法の一つであるといえる。
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Research Products
(13 results)