2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン樹状突起の維持を制御する分子基盤の遺伝学的研究
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09J05193
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
金森 崇浩 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 神経細胞生物学部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | ニューロン / 樹状突起 |
Research Abstract |
1.樹状突起の維持に必要なDyslexin蛋白質の機能ドメインの解析 Dyslexin蛋白質が樹上突起へと効率的に局在化する分子機構を明らかにするために、膜蛋白質であるDyslexin蛋白質の細胞内領域に存在することが予想される「樹上突起局在化配列」の探索を行った。具体的には、始めに、細胞内領域を部分欠損させた変異蛋白質をショウジョウバエ感覚ニューロンに発現誘導するためのトランスジェニック系統を樹立した。樹立したハエ系統を用いて、各変異蛋白質が効率的に樹上突起へと局在化するか否かを検証した。その結果、細胞内領域の大部分を欠損した変異蛋白質において、樹上突起局在能が顕著に失われることを見出した。また、この変異蛋白質は、Dyslexin変異体において引き起こされる樹上突起の維持異常を回復させる能力をも失っていた。この成果の最大の意義は、Dyslexin蛋白質による樹上突起維持において、樹上突起側に自身の突起構造を積極的に維持する機構が存在することを分子レベルで明らかにしたことにある。 2.誘導型RNAiライブラリーを用いた解析 樹上突起維持を制御する上皮細胞側の因子を同定するために、上皮細胞特異的に遺伝子発現抑制を誘導し、感覚ニューロンの形態を観察した。具体的には、始めに、前年度に特定した上皮細胞特異的に遺伝子発現を誘導可能なGAL4ドライバー系統に対して、感覚ニューロン特異的に蛍光蛋白質GFPを発現するマーカー遺伝子を導入した系統を作製した。続いて、誘導型RNAiライブラリー系統を用いて上皮細胞特異的にRNAiを誘導し、感覚ニューロンの樹上突起形態に影響を与える遺伝子のスクリーニングを行い、複数の候補遺伝子を同定した。この成果の意義は、Dyslexinが認識する細胞外環境の分子実体について、その候補遺伝子を少数に絞り込むことに成功したことにある。
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Research Products
(1 results)