2009 Fiscal Year Annual Research Report
飛翔昆虫を規範とした高性能な羽ばたき小型飛翔体の創製
Project/Area Number |
09J05225
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中田 敏是 Chiba University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小型飛翔体 / 昆虫飛翔 / 羽ばたき飛翔 / 流体・構造連成解析 / 柔軟翼 |
Research Abstract |
昆虫羽ばたき翼周りの流れ場を再現することが可能な生物型力学シミュレータ(H.Liu, J.Comput.Phys., 2009)と、新たに開発した構造解析シミュレータを弱連成手法によって連成することで、流体・構造連成解析シミュレータを新たに開発し、Heathcoteらの行った柔軟翼の振動実験(S.Heathcote et al., J.Fluid Struct., 2008)の結果との比較を行うことで、その有用性を確認した。本シミュレータを用いて、Combesらの行ったスズメガ翼の振動試験(S.A.Combes and T.L.Daniel, J.Exp.Biol, 2003)の結果を用いて構造モデリングを行った後、柔軟翼を有するスズメガの羽ばたき飛翔のシミュレーションを行った結果、翼の弾性変形によって生じるねじれによって、昆虫の羽ばたき飛翔における空気力発生に非常に重要な役割を果たす前縁渦が安定化され、また、翼端付近において翼の運動が修正されるため、剛体の平坦な翼と比較して、柔軟翼が大きな空気力を発生できるということを発見した。さらに、これまで定常/準定常流れという仮定のもとでしか求められなかった昆虫静止飛行の効率の算出方法を新たに考案し、これを用いて柔軟羽ばたき翼の性能の評価を行った結果、剛体翼と比較して、柔軟羽ばたき翼がより大きな空気力をより効率的に発生させることが可能であるということを発見した。これらの発見から、より高性能な小型飛翔体を創製するために、翼の柔軟性が非常に重要なファクターであるということが明らかとなった。また、高性能な小型飛翔体の創製に向けて、柔軟羽ばたき翼を再現性良く作製する方法を考案した。本方法では、翼の作製には真空樹脂含浸法を用いており、炭素繊維やアルミ箔と樹脂を複合化することで、昆虫翼のし脈構造を再現した柔軟羽ばたき翼の作製が可能である。現在、この方法で作製した柔軟羽ばたき翼の空気力学的性能の評価のための実験装置の作製を行っている。
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Research Products
(7 results)