2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05226
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤村 祐子 Hiroshima University, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 教員評価制度 / 米国 |
Research Abstract |
本研究は,我が国において本格的な検討が未着手な分野である,米国公立学校教員評価制度に関するものであり,同制度の基本的な法原理とその実態的様態を明らかにすることを通して,我が国教員評価制度への示唆的知見を得ることを目的としている。米国では,教員評価をめぐる動向は,近年になりめまぐるしく変化している。これまで、関連文献や史料等の解読や関連研究者との意見交換の中で,「新しい教員評価」が,新制度として導入されつつあることが明らかになってきた。「教員の資質能力向上」を主眼とする新制度は、"collaborative reflection"をキーワードとしたものであり,「教員による自己評価・教育実践の省察・他の教員とのコミュニケーション」これらが組み合わさったとき,教員の資質能力は向上するとの考え方に基づいて,構築されたものである。これらの考えに基づき、同制度は、メリットペイ、キャリアラダーシステムとリンクさせながらも、教員間の連携を強化し、学習共同体の構築を目指している。さらに、メリットペイシステムやキャリアラダーシステムを単独に導入するのではなく、(1)多様なキャリア選択、(2)継続的な職能開発、(3)教員のアカウンタビリティ、(4)能力報酬、の4つの構成要素を組み込み、相互に機能させることで、同プログラムの円滑な実施が構想されている。具体的に、グループ活動、形成的評価、自己評価の導入により、学校内に学習共同体の文化の構築を目指しており、さらに、ミドルリーダー職の設置、能力報酬の導入により、教員全体の給与の高度化を図っている。つまり、同制度は、質的側面と財政的側面の両面から、教職の高度化を図っており、これらの特質は、我が国教員評価制度において、十分な示唆を提供しているといえる。
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Research Products
(2 results)