2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05227
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井戸 邦夫 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光合成 / 光化学系II / PsbP |
Research Abstract |
1.Mn結合に関わると推測されるアミノ酸周辺の残基を置換した変異PsbPを大腸菌で大量発現し、精製した。このうち高等植物のPsbPで高度に保存されている144番目のヒスチジン残基について、単離PSII再構成系を用いた解析から酸素発生活性に重要であることを明らかとした。このことからこのヒスチジン残基は酸素発生に必須な無機因子であるカルシウムイオンの保持に重要であることが明らかとなった。 2.精製したPsbPとMnの特異的な相互作用を解析するための実験系の確立を試みた。これまでに報告のある透析による解析に加えて、ゲルろ過法による解析も試みたが、実験系の確立には至らなかった。 3.筑波大の野口巧博士らとの共同研究によりPsbPのN末端15残基のみのペプチドを調製して単離PSII膜標品に再構成し、FTIR分析によりMnクラスター周辺の構造変化が起こるのか解析した。その結果、N末端15残基のみのペプチドでは構造変化は見られず、酸素発生活性も回復しなかった。このことからPsbPの酸素発生回復にはC末端も必要であることが示唆された。 4.PsbPの発現抑制は植物に広範な影響を及ぼすが、それらがPsbP発現抑制の直接的な影響か、もしくは二次的な影響かは明確でなかった。そこでPsbPの発現抑制が植物に及ぼす一次的な影響を解析するため、エストラジオールにより誘導される誘導型RNAiベクター[Guo HS et al.Plant J.2003 34 : 383-392]を用いてPsbPの発現を一過的に抑制するシロイヌナズナの作出を行った。播種後1週間の植物をエストラジオール処理した場合にはPsbPの発現抑制が確認できたが、それ以降に誘導を試みた植物では発現抑制を確認することができなかった。このことからRNAi誘導により適した条件を検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(4 results)