2009 Fiscal Year Annual Research Report
大規模干拓地における環境及び経営的に持続可能な農業生産システムの構築
Project/Area Number |
09J05246
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹内 重吉 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 畜産環境問題 / 大規模干拓地 / 堆肥販売 / 環境保全型畜産経営 / 数理計画法 / 情報提供 |
Research Abstract |
我が国の畜産経営は、家畜排せつ物に由来する悪臭や水質汚染といった畜産環境問題の解決が課題とされている。この様な環境問題を解決するためには、畜産農家が行っている経営内農地への過剰な堆肥散布を中止し、これらの堆肥をすべて経営外へ販売する必要がある。 そこで本研究では、特にこの問題が深刻化している岡山県笠岡湾干拓地の畜産農家を対象に、環境保全型畜産経営の確立方策を検討した。 環境問題の根本的な解決には、堆肥販売を基軸とした新たな環境保全型経営が経営的に成立する必要がある。そこで、干拓地周辺の耕種農家ヘアンケート調査を行い、堆肥需要側のニーズを明らかにした。次に数理計画法を用いて、堆肥供給側である畜産農家の堆肥販売戦略を検討した。 結果として、堆肥の販売促進には輸送・散布・袋詰めなどの新たな販売サービスを行う必要がある。そして耕種農家の作目ごとに異なるニーズを把握し、それに対応して「販売サービスの組み合わせ」「販売価格」「販売量」を設定するといったきめ細かい販売計画が必要となる。これによって、新たな環境保全型経営は経営的に成立することが可能となる。 さらに、環境保全型経営への移行には畜産農家の環境に対する意識や堆肥販売への意向など、主観的な要因も関係している。また、現地の水質・土壌分析結果などの情報提供は、農家の意識に影響を与えると考えられる。 そこで、畜産農家ヘアンケート調査を行い、農家の環境意識や堆肥の販売意向を明らかにした。また、アンケート調査と同時に農家への情報提供を行い、情報提供が農家意識へ及ぼす効果を分析した。 結果として、畜産農家は干拓地の環境問題を十分に認識していなかった。そして、農家への情報提供(水質・土壌分析結果、耕種農家の堆肥ニーズなど)は、農家の環境意識と堆肥販売意欲を向上させることが明らかとなった。
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