2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05247
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩谷 芳也 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会認知 / 地位志向(階層志向性) / 職業的地位の構成イメージ / 社会階層の分布イメージ |
Research Abstract |
近年、日本では社会的不平等や格差の問題が大きく注目されている。本研究の目的は、人びとが抱く社会に関するイメージ(社会認知)の観点から社会的不平等が再生産されるメカニズムを明らかにすることである。この目的を達成するため、社会認知の一例として「職業的地位の構成イメージ」を取り上げ、「地位志向(階層志向性)」との関連を検討した。職業的地位の構成イメージとは、職業の社会的地位の全体像に関するイメージである。地位志向とは、社会的評価の高い職業や高い地位に就くことを重要視する価値意識である。人びとが持つ職業的地位の構成イメージは、研究者が定義する「客観的な」職業の社会的地位とは異なるかもしれないがメ本人にとっては一種の「現実」であり、職業をめぐる意識や行為に影響する可能性がある。2008年度に筆者が実施した「職業と社会に関する仙台市民意識調査」データを分析した。この調査では職業的地位の構成イメージを把握するために筆者が新たに開発した「自由測定法」という測定法が用いられた。分析の結果、以下3点が明らかになった。1、個人が持つ職業的地位の構成イメージは小分類レベルの個別の職業ではなく複数の職業の束を単位として形成されている。2、職業的地位が何段階に分かれているかについては人びとのあいだにコンセンサスは存在しない。3、職業の社会的地位を細かく多段階に区別して認知する人びとほど地位志向が強い。さらに社会認知の別の例として「社会階層の分布イメージ」と地位志向の関連を検討した。社会階層の分布イメージとは、上、中、下の各層にどれくらい多くの人が所属しているのかに関する認知である。「1985年社会階層と社会移動全国調査」データを分析した結果、自分の所属階層よりも上位の階層に属する人びとの比率を大きく認知するほど地位志向が強くなることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)