2010 Fiscal Year Annual Research Report
RNPナノ構造体の分子設計による機能性分子の新規創製
Project/Area Number |
09J05262
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野 博久 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RNP / 分子設計 / L7Ae-BoxC/D / ナノテクノロジー / 原子間力顕微鏡 / ドラッグ・デリバリー・システム |
Research Abstract |
RNA-タンパク質相互作用モチーフ(RNP)の、分子設計における材料としての有用性を示すため、RNPであるL7Ae-boxC/Dモチーフを用いて、三角形状のナノスケール構造体を設計および作製した。設計通りの構造体を原子間力顕微鏡で観察でき、さらにタンパク質の有無による構造変化を確認できた。これは、RNPを分子設計に用いた初めての例である。タンパク質により構造の制御が可能な点は、現在の核酸を材料としたナノテクノロジーにはないRNPの利点である。 また、L7Aeと任意のタンパク質を融合することによって、生理的条件下で上記三角形構造体に様々なタンパク質を機能を保持させたまま導入することにも成功した。これによって、三種類のタンパク質の機能を併せ持つ分子を作製できる。このシステムを利用し、特定細胞のみを検出し細胞死を誘導する研究が共同研究として行われている。細胞の認識、および細胞死の誘導には独立に成功しており、新たなドラッグ・デリバリー・システムとなりうる可能性がある。 分子設計における部品を充実させるため、前記モチーフ以外のRNPの探索も行った。現在、リボソームタンパク質であるL1やS15を部品として用い、設計通りのナノスケール構造体を構築できたことを示唆するデータが得られている。部品となるRNPが充実することで、設計できる構造の幅が広がり、今までになかった構造や機能性分子の創製につながると考えらる。 本研究の目的である機能性分子の創製を実現するためには、三次元的により複雑な構造を作製できる必要がある。そこで、三次元的な構造体の設計も試み、RNAを用いて正四面体状の構造体を作製することができた。RNAを材料とした三次元的な構造体は例が少なく、ナノスケール構造体や機能性分子の新規設計における骨格構造として利用できると期待される。
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Research Products
(2 results)