2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05264
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
銭本 慧 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウナギAnguilla japonica / ヨーロッパウナギA.Anguilla / 粒子追跡実験 / 仔魚輸送 |
Research Abstract |
当該年度において,ウナギAnguilla japonica及びヨーロッパウナギA.Anguillaの仔魚を対象とした粒子追跡実験を行った.ウナギについては,仔魚輸送海域である北西太平洋の海洋環境に大きな影響を及ぼすEl NinoやLa Ninaなどの現象の時にどのような流動環境となるのかを調査した.仔魚は通常産卵されると北赤道海流,黒潮と乗り継ぎ生息域である東アジアに輸送される.しかしEl Nino時には,海洋環境の変動により(NEC-Bifurcation緯度が北上することで)黒潮ではなくミンダナオ海流に取り込まれるために,日本へ輸送される粒子は減少した.このことは,El Nino時にシラスウナギ来遊量が減少することと整合する.ヨーロッパウナギについては,資源量が減少傾向にあるものの,生態学的知見が不足しているためその要因を特定できないでいる.そこで,粒子追跡実験を用いて仔魚期間の推定を行った.産卵場と推定される海域から粒子を投入し,シラスウナギに変態するヨーロッパ沿岸に粒子が投入するまでの時間を調査した.その結果,粒子投入後687-740日の粒子到達率が最も高く,この結果は仔魚の体長と分布から仔魚期間を推定した既往研究(約2年)と一致した.一方で,耳石日輪解析を用いた仔魚期間の推定結果(約1年)とは大きく結果が異なった.耳石の成長速度は水温が低下すると遅くなる事が近年分かってきていることから,粒子の経験水温を出力する追加実験を行った.その結果,北大西洋海流域を輸送される仔魚期間後期には耳石の成長が停止するほどの低水温(10℃以下)を経験する事が分かった.このことから耳石日輪解析による仔魚期間の推定は過小に見積もられたものと考えた.
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Research Products
(2 results)