2010 Fiscal Year Annual Research Report
成体小脳におけるCbln1を介した神経回路形成過程の解明
Project/Area Number |
09J05266
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 綾 (伊藤 綾) 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(SPD)
|
Keywords | シナプス / イメージング / 小脳 / Cbln1 |
Research Abstract |
Cbln1は中枢神経特異的に発現し、Clqファミリーに属す新しいサイトカインである。Cbln1は小脳顆粒細胞から分泌され、平行線維-Purkinje細胞(PF-PC)シナプスの形成を強力に誘導する。近年、Cbln1の受容体がDelta2型グルタミン酸受容体(GluD2)とNeurexinであることがわかった。しかし、Cbln1を介したシナプス形成がどのような過程を経て起こるのかは未解明である。本研究課題はライブメージング等の形態学的解析により、PF-PCシナプスの形成過程を明らかにすることを目的とする。本年度は、昨年度に確立したElectroporation法を利用し、小脳スライス培養を用いたライブイメージングを行い、PF-PCシナプス形成過程を観察することに成功した。その結果、PF-PCシナプスの形成時にはPFはダイナミックな形態変化を起こすことを見出した。さらに、Cbln1-GluD2の相互作用によりPFの形態変化が直接おこるのか、培養顆粒細胞を用いて検証した。培養液中にGluD2を発現するHEK293細胞を滴下すると、軸索との接触部位に糸状突起が出現することを見出した。また、PF-PCシナプス形成時のPFでみられる形態変化が、In vivoでも起こるのかを検証するために、マウス小脳の固定標本を用いて解析を行った。生体小脳顆粒細胞に特異的にGFPを導入しPFを観察すると、幼弱期マウスでは長さ約2μmの小突起が存在することを見出した。発達過程でPFにこのような小突起が存在することは、従来の報告にはないが、シナプスの形成過程で一時的に生じる構造だと考えている。今後はPF-PCシナプス形成過程における平行線維の形態変化の生理的意義を追及するため、Purkinje細胞スパインの構成分子との関連性を明らかにする。今までに得られた結果をまとめ、早期に論文として発表する予定である。
|
Research Products
(2 results)