2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン構造変化に起因するRNAサイレンシング分子機構の研究
Project/Area Number |
09J05281
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
平井 清華 Chiba University, 大学院・園芸学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コサプレッション / 遺伝子発現抑制 / RNAサイレンシング / クロマチン / 転写活性 |
Research Abstract |
RNAサイレンシングは、20~25ntのsiRNAによる塩基配列特異的な発現抑制である。コサプレッションは遺伝子組換え植物で観察される導入遺伝子と内在性の相同遺伝子の発現がともに抑制されるRNAサイレンシング現象であり、sense mRNAがRDR6によって二本鎖RNAとなりsiRNAが形成される。本研究では、導入遺伝子の転写活性を低下させることでコサプレッションの表現型から過剰発現の表現型へと変化させる株を得る事に成功した。これらの結果から転写活性が高い状態ではRNAサイレンシングが誘発され、転写活性が低下すると過剰発現の表現型が得られることが分かる。またコサプレッション株において、導入遺伝子のプロモーター配列の中でも特にsiRNAの形成とリンクする領域を同定し、転写活性とsiRNAの形成との因果関係を分子レベルで明らかにした。さらに、コサプレッション株において導入遺伝子のプロモーターは高度にメチル化されており、ヒストンH3K9ジメチル化されているが、高い転写活性を持っていることも明らかにした。これらより、プロモーターのsiRNAを介したDNAのメチル化とそれに伴うクロマチン構造変化が、下流遺伝子の発現制御に関与していることがわかった。さらに、コサプレッションにおいてRNAサインレシング関与しているといわれているタンパク質因子がどのように作用しているかを調べるため、コサプレッション株において複数の因子をそれぞれノックダウンした株の作出を行ない解析した。その結果RNAサイレンシングの初期の誘導に必須とされているRDR6やDNAの新規メチル化に関与するAGO4、核内においてRNAの二本鎖RNAの合成に関与しているRDR2が、コサプレッションの誘導と維持に強く関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)