2009 Fiscal Year Annual Research Report
家族の多様性と生活実践に関する歴史人口学的・地域社会学的研究
Project/Area Number |
09J05283
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 満大 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 婚外出生 / 人口増加 / 野母村 / 海村 |
Research Abstract |
2009年度は、肥前国西彼杵郡野母村(現在の長崎県長崎市野母町)の人口、家族、そして村落生活の関連性について研究を行った。具体的には、現在、長崎市が管理・保管している『野母村絵踏帳』をデータとして用いて、歴史人口学的に分析を進めた。本年度は、特に本研究全体の軸になる「婚外出生」について考察した。「婚外出生」は、西日本の地域性、あるいは野母村を特徴づける要素である。先行研究では、西日本、あるいは漁村において、「婚外出生」が多いことが示されているが、実態としての「婚外出生」については明らかにされていない部分が多い。 本年度は、まず野母村における「婚外出生」の量的な把握を試みた。その結果、すべての出生のうち、約1割から2割の母親が未婚、離死別状態での出生、すなわち「婚外出生」であったことが明らかになった。したがって、一般的なイメージよりも、「婚外出生」が野母村においては多かったといえる。 次に「婚外出生」と村落の人口趨勢との関係性について検討した。近世後期、野母村においては、人口成長と「婚外出生」の増加との間に関連がみられた。つまり、人口成長の過程において、出生数が増加し、「婚外出生」の数も増えていたのである。 このように「婚外出生」は、野母村の人口学的行動の特徴であった。また一方で「婚外出生」は、村落の人口変動とも連関していた。今後は、「婚外出生」とそのほかのライフイベント、例えば、結婚、相続などとの関連について考察していく予定である。
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Research Products
(1 results)