2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨化にいたる軟骨と永久軟骨の違いを特徴づける因子の同定とその分子機構の解明
Project/Area Number |
09J05333
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 俊康 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 軟骨細胞分化 / MAPK経路 / MLTK / Sox6 / Xenopus |
Research Abstract |
前年度の研究において私は、MAPK経路のシグナル伝達因子のMLTK(MLK-like MAP Ptriple kinase)が軟骨細胞分化のマスター制御因子の一つであるSox6を制御する可能性を見出した。採用第三年度の研究において私は、MLTKとSox6の関係性について、さらに解析を行った。MLTKをノックダウンした胚において、軟骨細胞分化のマスター制御因子であるSox5、Sox6、Sox9の発現量を定量したところ、Sox5とSox9の発現量は変化は観察されなかったが、Sox6の発現量が顕著に減少していることが分かった。また、MLTKをノックダウンした胚において、in situ hybridizationによって予定軟骨領域でのSox6の発現が減少していることを明らかにした。これらの結果はMLTKがSox6の上流に位置する重要なシグナル伝達因子であることを示唆するものである。Sox6の経時的な発現変化の解析から、Sox6が神経堤細胞から軟骨細胞へと分化する時期に発現が誘導されることが分かった。これまでにSox9はSox6の上流に位置することが知られていたため、私は次にMLTKがSox9を介してSox6を誘導する可能性について解析を行った。MLTKまたはSox9の単独での過剰発現はSox6の発現を有意に上昇させることができなかったが、MLTKとSox9と共発現させるとSox6の発現を誘導できることが分かった。MLTKは下流のMAPK経路であるp38経路とJNK経路を活性化することが知られていたので、MLTKがp38やJNKを介して軟骨細胞分化を制御するのかについて解析した。その結果、p38またはJNKの上流因子MKK6またはMKK7の恒常活性化型変異体の強制発現によって、MLTKのノックダウンによる軟骨形成不全が抑制されることが分かった。以上の結果から、MLTKは下流のp38経路やJNK経路を介してSox9の転写活性化能を上昇させ、Sox6の発現を誘導する、というシグナル伝達経路が軟骨細胞分化に必須であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)