2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス応答性転写因子DREB2の高温ストレス下における発現制御機構の解明
Project/Area Number |
09J05337
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 拓実 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 転写因子 / 環境ストレス応答 / 高温ストレス / DREB / HSF |
Research Abstract |
環境ストレス応答に重要な転写因子DREB2Aは、自身の発現も環境ストレス応答性であることから、DREB2Aを制御する因子が存在することが予想されていた。そこで、本研究ではDREB2Aの発現制御機構を明らかにする事を目的に研究を行った。 これまでに、GUSレポーター遺伝子を用いたDREB2Aプロモーターの解析からDREB2Aの高温ストレス応答にはHSE配列が重要であることが分かっていた。HSEは高温ストレス応答に重要な転写因子HSFの作用配列として知られている。これらの候補となるHSFの過剰発現シロイヌナズナを作出、解析したがDREB2Aの発現に明確な変化は見られなかった。 今年度は、初めにDREB2Aの制御因子の候補と考えられたHsfA1a、HsfA1b、HsfA1dの破壊株を掛けあわせることで多重変異体を作出した。それぞれの二重変異体の解析ではDREB2Aの高温ストレス応答に明確な変化は見られなかったが、hsfa1a/b/d三重変異体ではDREB2Aの高温ストレス応答が失われることが明らかになった。三重変異体にHsfA1b、HstA1dを過剰発現させた相補性試験でDREB2Aの高温ストレス誘導が復帰したことから、DREB2Aの高温ストレス応答はHsfA1a、HsfA1b、HsfA1dの三遺伝子により機能重複的に制御されていることが明らかになった。さらに、マイクロアレイ解析の結果hsfa1a/b/d三重変異体ではDREB2A以外にも多くの遺伝子の高温ストレス誘導が失われていることが明らかになった。これらの三遺伝子はストレスの有無により発現が変化しないため、転写因子による遺伝子発現制御カスケードの最上流に位置すると考えられた。HsfA1の活性制御に関しては今後研究を進めていく予定である。
|
Research Products
(1 results)