2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノインプリントにおけるナノ離型メカニズムに関する研究
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09J05349
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岡田 真 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所・物質理学研究科物質科学専攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノインプリントリソグラフィー / UV硬化性レジスト / 走査型プローブ顕微鏡 / 酸素阻害 / フォースカーブ |
Research Abstract |
ナノインプリントにおけるナノ離型メカニズムを解明するためには、レジストの特性評価を行う必要がある。UV硬化レジストは主にラジカル重合系樹脂とカチオン重合系樹脂に分類される。ラジカル重合系樹脂の特徴は、硬化速度が速いが酸素存在下では硬化速度が遅くなることが挙げられる。一方、カチオン重合系樹脂は、酸素阻害はないが硬化速度が遅いという特徴がある。今回、その場UV照射可能な走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて局所領域におけるラジカル重合系樹脂とカチオン重合系樹脂に対する酸素阻害の影響を調べた。 本実験ではラジカル重合系レジストとしてC-TGC-02(東洋合成工業(株))を、カチオン重合系レジストとしてNICT103(ダイセル化学工業(株))を使用した。測定手順を下記に記す。(1)まず、UV照射前のレジストのフォースカーブ測定を行う。(2)そして、大気中、もしくは15Paまで真空引きしUV照射を行う。UV波長と照度は365nm、39mW/cm^2である。(3)大気解放後、再度フォースカーブ測定を行う。(2)と(3)を繰り返すことでフォースカーブ形状の変遷を調べた。大気下UV照射では酸素が存在し、真空下UV照射ではほとんど酸素が存在しないため、これらを比較することで樹脂に対する酸素の影響を調べることができる。C-TGC-02の場合、大気中では80秒間のUV照射によって硬化した。一方、真空中ではわずか0.1秒間のUV照射によって硬化することが確認された。これらの結果から酸素阻害によって硬化速度に約800倍の差が現れることを実証した。 次に酸素阻害が無いNICT103(カチオン重合系樹脂)について同様の測定を行った。測定の結果、大気中では9秒間のUV照射によりNICT103は硬化した。一方、真空中では2秒間のUV照射で硬化した。カチオン重合系樹脂には酸素阻害はないにもかかわらず、硬化速度が4.5倍ほど速くなった。アルカリの存在によってカチオン重合系樹脂の硬化反応が影響を受けると報告されているが、現在詳細を調べている。
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Research Products
(19 results)