2009 Fiscal Year Annual Research Report
高保磁力化に向けたNdFeB磁石の最適粒界構造の探索と制御
Project/Area Number |
09J05369
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邊 奈月 Kyushu University, 総合理工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 永久磁石 / 重希土類元素 / 透過電子顕微鏡 / 元素分析 / カー効果顕微鏡 / 磁区構造 |
Research Abstract |
当該年度は主に透過電子顕微鏡を用いてTb改質処理前後のNd-Fe-B系焼結磁石の微細構造解析に取り組んだ。Tb改質処理前のNd-Fe-B焼結磁石は強磁性Nd_2Fe_<14>B粒を取り囲む幅2nm程の極薄Nd-cu界面層が形成されていることがわかった。この界面層は各Nd_2Fe_<14>B粒を磁気的に分断して高保磁力が発生させると考えられる。ただし、一部の粒界部にNd-Cuからなる微細な析出が存在している箇所も観察された。このような箇所は逆磁区の核生成サイトになるものと推察される。 Tb改質処理を施すと、極薄Nd-Cu界面層は粒界部に濡れ広がり、均一幅で滑らかになることがわかった。粒界部において詳細な微細構造解析を行ったところ、Nd_2Fe_<14>B相同士およびNd-rich粒界相との界面にTbが濃化した幅2nm程の極薄Nd-Cu-Tbアモルファス界面層が形成されていることがわかった。以上の結果より、Tbが磁石内部にまで拡散して界面層を滑らかにさせるとともに、Tbが濃化した極薄界面層が各Nd_2Fe_<14>B相粒を磁気的に分断してさらに高保磁力化させるものと推察できる。極薄界面層近傍の極めて微小な領域に重希土類を偏在させることで、磁化低下の抑制とともに、効率的に保磁力を増大させることが可能であるという保磁力機構に重要な知見が得られた。 また、Nd-Fe-B系熱間加工磁石にも同様の手法で微細構造解析を始めており、Nd_2Fe_<14>B微細粒の方位配向組織が形成することや、数nm幅の極薄粒界層の存在などを見出した。
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Research Products
(10 results)