2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05382
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤井 剛 Nihon University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子情報通信 / 超伝導転移端センサ / 光子数識別器 / 量子効率 / 単一光子検出器 / カイネティックインダクタンス |
Research Abstract |
光子数識別器は、n光子状態を測定する際、n光子状態を測定できる確率が検出効率のn乗に比例する。そのため、光子数の多い多光子状態を測定するためには、100%に近い検出効率が必要である。今年度、Ti薄膜を20層の誘電体ミラーと7層の無反射コーティングで挟み込んだ光閉じ込め構造型の超伝導転移端センサを開発した。本検出器は、エネルギー分解能0.30eVという高い光子数識別能力を達成し、検出効率は、波長850nmに対して81%,波長1550nmに対して64%を達成した。立下り時間は、190nsであり、1MHzを超える世界最高の最大計数率を達成した。単一光子検出器は、量子暗号通信などの実用化に向けて、高時間分解能や高計数率が求められている。本年度は、Nb超伝導体を用いた超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SSPD)を開発した。超伝導体をNbにすることにより、従来のNbN超伝導体に比べ、超伝導体自信の持つカイネティックインダクタンスを大幅に減らすことが出来る。また、Nbは、SiO_2などのスパッタ膜上に容易に成膜でき、検出効率を上げるための光閉じ込め構造を容易に作製できるなどのメリットがある。膜厚7nm,線幅200nmフィリングファクタ0.5のメアンダー構造を作製し、超伝導特性、光応答特性を評価した。作製したSSPDは、4Kで超伝導転移を示し、1.6Kにおける臨界電流密度は、0.50MA/cm2であった。光応答信号の立ち上がり、立下り時間は、1.5ns,2.5nsである。この結果は、NbNを用いたSSPDに比べ、本検出器のカイネティックインダクタンスが、1/2程度であることを示している。
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Research Products
(10 results)