2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内複数シグナルの相関解析に寄与する機能性マルチカラー蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
09J05388
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
梅澤 啓太郎 Keio University, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 蛍光プローブ / バイオイメージング / ケミカルバイオロジー / バイオ分析 / 近赤外 |
Research Abstract |
本研究では、細胞内複数シグナルのイメージングを達成するために、生物学(蛍光タンパク質やタンパク質タグ)および化学(有機蛍光プローブ)によるアプローチの双方を取り入れ、生物学と化学の双方の技術が融合した新しいバイオイメージング手法を提案する。そのための手法として、これまで有効に活用されていなかった長波長領域(600nm~)を網羅する有機蛍光色素団を設計し、その蛍光団に目的物質を認識して蛍光応答を変化させることのできる機能を付与し、新規機能性蛍光プローブを開発、複数シグナルの可視化を達成する。 初年度は、その足がかりとして、長波長領域で目的のターゲットを可視化できる新規機能性蛍光プローブの基礎的研究を中心に行った。具体的には、細胞内の重要な機能を担う一旦となっている水素イオン(H+)やカルシウムイオン(Ca2+)を可視化できるような、新規長波長蛍光プローブの開発に着手した。その結果として、水素イオンの有無に対して、燈色(約575nm)から赤色(590nm)に蛍光色が変化する新しいH+認識用蛍光プローブの開発や、近赤外領域(650nm以上)でCaの有無によって100倍以上の蛍光強度の変化をもたらすCa認識用蛍光プローブの開発に成功した。いずれのプローブも、極めて明るい蛍光を示すため、高感度な分析が可能であり、さらにこの波長領域で鋭敏な応答を示すイオン応答性蛍光プローブは世界的にも報告例が極めて少なく、その新規性と有用性は極めて高い。そしてこれらの蛍光プローブが開発されたことにより、今後は水素イオンやカルシウムイオン、またその他の多くの物質が細胞内、生体内でどのような相互作用をしているかを異なる色で検出することができ、これまでに知られていなかったような、未知の相関を解明することができると期待される。
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