2009 Fiscal Year Annual Research Report
精子による卵外被認識とそれに伴う精子膜ラフトによる先体反応のシグナル伝達
Project/Area Number |
09J05395
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
成瀬 正啓 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 受精 / 先体反応 / 動画解析 / Ca^<2+>イメージング / ARIS / サポニン / AFM / マイクロドメイン |
Research Abstract |
本研究課題は、哺乳類を含め多くの動物において受精の必須過程である精子先体反応に着目し、その誘起機構を明らかにすることを目的としている。 体外受精を行うマヒトデを主に実験動物として用いることで、in vitroで自然界と同様の受精を研究できることを利用し、将来の研究基盤として先体反応過程の経時的観察系の開発を行った。検討の結果、卵外被に達した精子が先体反応に伴って[Ca^<2+>]_i上昇を起こす動画を撮影することに成功し、生化学的知見から示唆されていた2段階のCa^<2+>流入を支持する結果が得られた。また、2度目の[Ca^<2+>]_i上昇までのインターバルと1度目の[Ca^<2+>]_i上昇の強度に相関があるなど、興味深い知見も得ることが出来た。 先体反応誘起の分子機構についても研究を行い、先体反応誘起の主因子であるARIS・補因子Co-ARISの作用機構も明らかとなってきた。硫酸化ステロイドサポニンであるCo-ARISは精子マイクロドメインに取り込まれ、ガングリオシドと相互作用することで、同じくマイクロドメイン上に存在するARIS受容体の配置を変化させ、ARIS受容能を高めていると考えられる。サポニンの機能としてこのような報告は新規であり、応用性が広がった。 3つのARISタンパク質の配列を決定し、保存性の高いNAR(N-terminus ARIS)とCAR(C-terminus ARIS)と名付けた新規のモチーフを発見した。この配列は他の動物においても保存されていたことから、マヒトデで得られた知見が他の動物まで幅広く応用できることが予測された。また、Atomic force microscopy(AFM)を用いたARISの構造観察を行った結果、ARISは濃度依存的に重合してネットワーク構造を形成しており、新規モチーフNAR,CARが高次構造形成に関与していることを示唆した。
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Research Products
(11 results)