2009 Fiscal Year Annual Research Report
miR-199a遺伝子のプロモーター解析とヒト癌におけるその機能解析
Project/Area Number |
09J05399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 浩平 The University of Tokyo, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子生物学 / 癌 / microRNA / 転写制御 / クロマチンリモデリング因子 |
Research Abstract |
microRNAは、植物、ショウジョウバエ、線虫、脊椎動物などに幅広く存在する低分子non-coding RNAである。microRNAは、RNApolymeraseIIによりpri-microRNA(primary-miRNA:初期転写物)として転写される。その後、核から細胞質へ輸送され21-25塩基のmature microRNAとなり、遺伝子の3'UTR(3'untranslated region:3'非翻訳領域)内の相補的な領域に結合しmRNAの翻訳抑制あるいは分解を行う。 本研究で注目したmiR-199a遺伝子の発現はヒトがん、感染症等で正常細胞と異なることが示唆され、ヒト疾患への関与の可能性があることから近年、注目を集めているが、その発現制御の分子機構はほとんど解明されていない。我々が開発したアルゴリズムによりmiR-199a-2のプロモーター領域が予測され、転写因子Egr1がこの領域に特異的に動員されることをクロマチン免疫沈降法により実証したことから、Egr1がmiR-199a-2の転写を正に制御する1つの重要な転写因子であると結論した。 miR-199aには、miR-199a-5pとmiR-199a-3pの2つの成熟microRNAが存在する。microRNAの標的遺伝子を予測するPicTarによって、miR-199a-5pとmiR-199a-3pがBrm mRNAの3'UTR上の異なる領域に結合しうる可能性を見出した。 そこで、miR-199a-5pと-3pを発現ベクターによって過剰発現させると内在性のBrmタンパクの発現が低下した。一方、我々の研究室で開発したmicroRNA阻害ベクター(Tough decoy RNA発現ベクター)を用いてmiR-199a-5p,-3pの機能を抑制すると内在性Brmタンパクの発現が上昇した。さらに、Brmの3'UTR全長をluciferase遺伝子の下流に組み込んだレポータープラスミドを作製しレポーター活性を調べたところ、WTに比べ、miR-199a-5pとmiR-199a-3pの結合予測配列に変異を導入したレポーターの場合に活性が上昇した。これは、それぞれの結合予測配列にmiR-199a-5p,-3pが結合することを示唆する。以上の結果よりmiR-199a-5pと-3pは両者ともBrm mRNAを標的とすると結論した。今後、miR-199a,Brm,Egr1が形成する遺伝子制御ネットワークについて詳しく解析する予定である。
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Research Products
(3 results)