2009 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀英文学とブリティッシュ・ニュー・レフトの関係についての研究
Project/Area Number |
09J05400
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
近藤 康裕 Hitotsubashi University, 大学院・言語社会研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ブリティッシュ・ニュー・レフト / 文化 / 表象 / レイモンド・ウィリアムズ / 価値評価 |
Research Abstract |
20世紀後半のイギリスにおける文化と社会に重要な影響を及ぼしたニュー・レフトについて、20世紀前半の作家D・H・ロレンスの文学とニュー・レフトとのかかわりを分析することからはじめて、モダニティーへの反応、批判としての文化という観点から研究を行った。ロレンスとニュー・レフトを扱ったシンポジウムでは、ロレンスを高く評価し、ニュー・レフトの中心的な存在でもあった批評家たちによる評価の基本にある価値の問題を、芸術の価値の問題にとどまらず、価値形態とその批判という根本的な問題にまで射程をひろげて議論し、このような問題に対しての批評意識がロレンスの文学を特徴づけるものであり、この点をニュー・レフトの批評家たちが評価したことは、ロレンスが20世紀後半の革新的文化、社会運動に大きな影響力を持ちえたことのきわめて重要なあらわれであると論じた。この発表をもとにして、学術論文を執筆、投稿した。また、ニュー・レフトのもっとも重要な作家、批評家であったレイモンド・ウィリアムズの文学と批評についても研究をつづけ、この成果は上記論文においても核をなしている。このような研究は、近年人文学の領域で重要性が強調される「文化」概念の再考につながる重要な問題を扱うもので、これを文学、社会、経済など多角的な観点からとらえなおす意味で、20世紀後半の文化史についても当該年度の研究の主要な課題のひとつとして取り組んだ。当年の研究課題の一環として、イギリスで、スウォンジー大学のThe Raymond Williams Papersの調査を行い、また主に1970年代の文化表象を文学ならびに映像表象から分析する目的での調査も行った。
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Research Products
(3 results)