2009 Fiscal Year Annual Research Report
子どもはどのように他者を説得するのか?-社会的やりとりにおける心的状態の利用-
Project/Area Number |
09J05425
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
佐藤 友美 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 説得 / 就学前児 / 信念 / 心の理論 |
Research Abstract |
他者と良好な関係を保ちつつ自己の欲求を充足させる上で,他者を説得することは重要な社会的スキルである。このような説得能力はどのように発達するのだろうか。Bartschら(2007)によると,相手を考慮した説得をおこなうためには,a)相手の反対理由に着目し,b)その反対理由を覆す情報を呈示する必要があるという。Bartschらは5歳になると,他者の反対理由を覆すような説得が可能になることを示した。しかしBartschらの方法は,上記の能力のうちa)の能力については検討されておらず,他者を考慮する説得に必要な能力として,"相手の反対理由に着目する"能力と"反対理由を覆す情報を呈示する"能力の二つが実際に関与しているかどうかは明らかではない。そこで実験1では,Bartschらが"相手の反対理由を覆す情報を呈示する"能力を検討していたかを検討した。説得相手が1人であり,一つの反対理由を持っている「1人1信念条件」と,受け手が2人いて,それぞれが一つの反対理由をもっている「2人1信念条件」において,子どもの説得の可否を調べた。その結果,子どもの説得成績は1人1信念条件と2人1信念条件において同等であった。したがって,先行研究では,反対理由を覆す情報を呈示する過程のみが関わる説得の発達を検討していたことが示された。2過程がかかわる説得はどのように発達するのか。この点を明らかにするために,2人の説得相手が1つずつの信念を持っている「2人1信念条件」と,1人の説得相手が2つの信念を持っている「1人2信念条件」において,a)正しく相手の反対理由を判断し,b)反対理由を覆す情報を呈示できるかを明らかにした。その結果,5歳児になると4歳児よりも相手の反対理由を判断できるようになるが,まだ難しかった。 そして反対理由を覆す情報を呈示することは,5歳児になるとできるようになる。さらに,反対理由を判断できれば,反対理由を覆す情報を呈示できることが示された。
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Research Products
(3 results)