2009 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族化合物をテンプレートとする遷移金属触媒による新規反応開発
Project/Area Number |
09J05433
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松木 麻依子 (大塚 麻依子) Waseda University, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 芳香族求核置換(S_NAr)反応 / フルオロアレーン / アミン / ルテニウム / アレーン金属錯体 |
Research Abstract |
芳香族求核置換(S_NAr)反応は、様々な置換基を有する芳香族化合物の合成する上で有用な反応である。しかし本反応は一般的に、電子求引性基を持たない不活性フルオロアレーンに対しては適応できない。クロムヘキサカルボニル錯体などの遷移金属錯体を利用することで、不活性フルオロアレーンに対してS_NAr反応を進行させることが可能となるが、この手法は目的生成物を得るために化学量論量の遷移金属錯体を用い、しかもそれらの脱着のステップが必要という問題点がある。報告者は本研究において、アレーン金属錯体の特徴を活かし的さらに触媒反応へと展開することでこれらの問題点を解決し、効率的な不活性フルオロアレーンに対するS_NAr反応を開発した。具体的には、フルオロトルエンとモルホリンをモデル基質として、ジオキサン中、アレーン錯体を形成し得る種々の遷移金属錯体を検討した。その結果、Ru(cod)(2-methylallyl)_2, DPPPent(1, 5-bis(diphenylphosphino)pentane),トリフルオロメタンスルホン酸から調製される触媒系を用いることで、ルテニウム錯体を用いた不活性フルオロアレーンとアミンのS_NAr反応を開発した。本触媒反応は強い電子供与性基であるメトキシ基やアミノ基を有するフルオロアレーンに対しても適応可能であった。さらに見方を変えれば、本反応は一般的に安定で、直接的な変換が困難な炭素-フッ素結合を、触媒的に炭素-窒素結合へ変換した初めての例と言える。
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Research Products
(3 results)