2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内観察システムによる心血管疾患における白血球遊走過程の解明
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09J05437
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
萩田 澄彦 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生体内顕微鏡 / 動脈硬化 / 機械的傷害 / 脂肪組織 / メタボリックシンドローム / マクロファージ / 樹状細胞 |
Research Abstract |
昨年度までに血管内膜の炎症反応を観察するカフ傷害モデル、高脂血症モデルであるアポE欠損マウスにおけるリアルタイム観察の実験系を確立し、すでに確立済であるワイヤー傷害モデルと合わせて様々な動物モデルでの観察が行えるようになった。これらのモデルを用いて様々な血管炎症反応モデルにおける細胞接着現象の生体内観察が可能とあった。 さらに、本年より新しい動物モデルとして、血管周囲脂肪組織に着目し、血管周囲に他動物由来の脂肪組織を移植するモデルを考案し、観察・病態メカニズムの検討を進めた。まず、移植する脂肪組織によってそれらの作用に差があり、皮下脂肪よりも内臓脂肪でその作用は強く、高脂肪食負荷動物由来の脂肪組織を移植するとその作用はより強くなった。また移植した脂肪組織および移植された動物の血清のELISA解析を行った結果、炎症性サイトカインであるIL-6および炎症性ケモカインであるMCP-1とMIP-1βの関与が示唆された。さらに脂肪組織中へ浸潤している細胞種の同定を試みたところ、M1マクロファージ、活性化単球および成熟樹状細胞の浸潤を認めた。またそれらは皮下脂肪に比べ内臓脂肪で顕著であり、高脂肪食負荷によって増加した。脂肪移植後の顆粒球および単球上の接着分子であるCD11bの発現が増加しており、観察前に抗CD11b抗体を静注する事によって血管への細胞接着数が有意に抑制された事から、脂肪移植後の細胞接着にCD11bが重要であることが示唆された。一方で機械的傷害後の細胞接着に重要な役割を果たす酸化ストレスに関しては増強が見られず、別のメカニズムが存在する可能性があり、観察・病態メカニズムの検討をさらに進める事で、メタボリックシンドロームにおける脂肪組織の役割をより明らかにする事が出来ると考えられる。
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Research Products
(5 results)