2009 Fiscal Year Annual Research Report
気泡核生成現象解明のための大規模分子動力学シミュレーションシステムの開発
Project/Area Number |
09J05452
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 和義 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子動力学 / 大規模シミュレーション / 核生成現象 |
Research Abstract |
本研究は、現存する分子間の長距離相互作用の計算手法よりもさらに高速な計算が可能となる手法を開発し、それを用いて大規模系における核生成現象のシミュレーションを行うことを目的とする。現在もっとも一般的な長距離相互作用計算手法として、フーリエ変換を用いたEwald法がある。Ewald法は周期境界条件下においてもっとも良い精度を示すとされる。しかしフーリエ級数の計算が速度面でのネックとなる。そこで報告者は、長距離効果を近似的に取り入れることでフーリエ級数の計算を行わずに長距離相互作用を計算することができるIsotropic Periodic Sum(IPS)法に注目した。 報告者は2009年度の研究実施計画に基づき、IPS法と多重極子展開を組み合わせたIPS/PPPC法を開発した。IPS/PPPC法は予定通りの精度を示し、これを第23回分子シミュレーション討論会において発表した。その一方で、従来のIPS法の問題点を指摘した論文をThe Journal of Chemical Physicsに投稿し、現在審査中である。報告者はまた、IPS法と同様にフーリエ級数の計算を行わないというメリットを持つWolf法に注目し、IPS法およびWolf法の水気液界面の分子動力学シミュレーションを行った。水気液界面系においてWolf法はEwald法に比べ、十分な精度を示さないことが明らかになった。一方IPS法はEwald法に近い精度を示すことが明らかになった。これは第46回日本伝熱シンポジウムにおいて発表された。
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Research Products
(2 results)