2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05457
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣岡 俊亮 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高温ストレス / アスコルビン酸ペルオキシダーゼ / 極限環境生物 / 葉緑体 / 活性酸素 |
Research Abstract |
現在、地球は様々な環境問題に直面している。その中でも温暖化は広範囲に影響を及ぼし、すでに一部の農作物ではその被害も深刻化している。これまでに、植物の高温耐性の強化を目的とした研究は少ないながらも行われてきた。しかし、そのほとんどは植物の内在性の遺伝子に着目していた。今回、我々は高温環境に棲息する生物の遺伝子の利用こそが高温耐性植物の作出において重要であると考え、高温(42℃)、強酸性(pH2.0)という真核生物としては極限的な環境に棲息しているCyanidioschyzon merolae(シゾン)に着目した。我々はまず、シゾンが極限環境で棲息するための重要な遺伝子があると考え、EST情報を解析した。すると、活性酸素消去酵素であるストロマ型アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(stAPX)が高く発現していることが明らかになった。そこで、CmstAPX(シゾンstAPX)と内在性のAtstAPX(シロイヌナズナstAPX)を過剰発現させたシロイヌナズナをそれぞれ作製し、ストレス耐性等の評価を行った。まず、CmstAPXのシロイヌナズナ内での局在を明らかにするため、免疫蛍光顕微鏡観察を行ったところ、葉緑体のストロマへの局在が観察された。次に、活性酸素耐性の評価を行った。CmstAPX株は葉緑体内で活性酸素を発生させるメチルビオローゲンに対してWT、AtstAPX株と比較し耐性を示した。続いて、高温耐性の評価を行った。33℃の高温環境での発芽からの様子を観察したところ、WTの子葉が白化したのに対し、CmstAPX株の子葉は緑色を保った。これらの子葉を電子顕微鏡で観察したところ、WTの葉緑体が崩壊していたのに対し、CmstAPX株ではその構造を維持していた。これらの結果から、葉緑体内で発生する活性酸素をCmstAPXが効率よく除去することで高温耐性が強化されることが示唆された。
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Research Products
(5 results)