2010 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞のDNAメチル化プロファイル制御機構の解明
Project/Area Number |
09J05459
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村本 玄紀 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ES細胞 / エピジェネティクス / トランスポゾン / エピジェノム / ゲノム / 核膜 / クロマチン / T-DMR |
Research Abstract |
ES、iPS細胞を代表とする分化多能性幹細胞と分化多能性を持たない体細胞との違いは、「同じゲノムからどの情報を使うか」が異なっていることに起因する。この違いを規定するのが、細胞ごとのエピジェネティック情報である。今後、分化多能性細胞を利用した再生医療の基礎情報として、分化多能性細胞と体細胞のエピジェネティック情報の違いを明らかにすることは重要である。 本年度は、ES細胞、体細胞を用いて、染色体全域を対象としたDNAメチル化解析を行い、ES細胞でのみメチル化状態の異なるゲノム領域の特徴を明らかにすることを目的とした。 染色体上におけるES細胞特異的なメチル化修飾の分布 遺伝子領域だけでなく遺伝子間領域にもES細胞特異的なメチル化修飾を受ける領域があることが明らかになった。これらのメチル化修飾は、遺伝子領域では遺伝子発現・ヒストン修飾と相関が認められ、遺伝子の発現制御に関与することが示唆された。また、遺伝子間領域のES細胞特異的なメチル化修飾も、ヒストン修飾と相関を示し、エンハンサーとして機能することが考えられた。 ES細胞で特異的にメチル化修飾を受けない(非メチル化)領域の特徴 ES細胞特異的な非メチル化領域は、染色体上のSINE配列(トランスポゾンの一種)が多く分布する領域に集中して存在する傾向を持つことが分かった。これらの領域には、ES細胞において転写が活発な領域にみられるヒストン修飾が認められた。また核膜との相互作用頻度の解析から、ES細胞特異的な非メチル化領域は、分化細胞に較べES細胞において核の内部に位置していることが分かった。興味深いことに、これらのヒストン修飾と核内位置の傾向は、SINE配列が多い領域に存在するES細胞特異的な非メチル化領域ほど顕著であった。これらの結果は、染色体の配列構造とES細胞特異的なエピジェノム情報の間に相関関係があることを意味している。
|
Research Products
(6 results)