2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05499
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平井 悠哉 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核小体 / 核マトリクス / 動的核マトリクス / 天然変性領域 |
Research Abstract |
本研究では、核マトリクスの実体解明に向け、核小体内の核酸の中で核小体核マトリクスとして存在するものを決定すること、及び核小体核マトリクスタンパク質の動態解析を行うことにより「動的核マトリクス」という概念を提示することを目的としている。本年度は主に、核小体局在を示した機能未知核マトリクスタンパク質であるWDR46のキャラクタリゼーション及び機能解析を行った。まず、WDR46の核小体局在に重要な領域の大部分が、分子間相互作用のハブとされている天然変性領域であることを明らかにした。このことから、核小体は、分子間相互作用の結果形成されるダイナミックな構造体であることが示唆された。次に、免疫沈降及び質量分析を用いて、WDR46の結合タンパク質同定を試みた。その結果、PDCD11、NOL6、NOP2、DDX21、nucleolinの5種が、WDR46の主要な結合タンパク質であることが明らかになった。また、上記5種のタンパク質に対する抗体を用いて免疫沈降を行い、WDR46がどのタンパク質と複合体を形成しているかを明らかにすることを試みた。その結果、WDR46-PDCD11、WDR46-NOP2、WDR46-DDX21-nucleolinといった複合体を形成していることが示唆された。また、上記のタンパク質はRNAのプロセシング機能を持っており、特にPDCD11に関してはリボソームRNAのプロセシング機能を持っていることから、WDR46も同様にリボソームRNAのプロセシングに関与していることが強く示唆された。これまで曖昧であった核マトリクスに含まれるタンパク質の機能解明に一石を投じた上記の研究結果は非常に意義深いものであり、また、核小体の基盤となりえる構造が動的であるということを示唆する結果は、重要性に富んだものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の基礎データや示唆的なデータは出そろってはいるが、「動的核マトリクス」をより直接的に示すデータが不足していると思われるため。
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Strategy for Future Research Activity |
機能未知核マトリクスタンパク質であるWDR46の機能解析が大きく進んでいるため、引き続き機能解析を行うこと、またそれに加え、動態解析も行い、「動的核マトリクス」という概念をより確固たるものにすることが今後の推進方策である。
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Research Products
(1 results)