2010 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面の形態形成におけるエンドセリンA型受容体の細胞内シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
09J05514
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤澤 興 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エンドセリン / 神経堤細胞 / Gタンパク質共役型受容体 / エンドサイトーシス / 脱感作 |
Research Abstract |
GPCRはヒトゲノムにおいて最大のスーパーファミリーを構成することから、創薬治療のターゲットとして非常に重要である。GPCRがGアルファサブユニットを介して細胞質内のセカンドメッセンジャーを動員する機構はこれまでよく研究されているものの、さらに核内へシグナルを伝達する分子メカニズムに関しては未だ充分に明らかになったとは言いがたく、今後の基礎研究の重要な課題の一つである。 私が研究対象としているエンドセリンA型受容体(ETAR)は七回膜貫通型のGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。エンドセリン-1(ET-1)をリガンドとして顎顔面の領域決定を担う形態形成分子である。私の研究室ではこれまでET-1のもう一つの受容体ETBRがETARとシグナル伝達能の互換性が極めて乏しいことを遺伝子改変マウスを用いて示してきた。私はこのサブタイプ特異性が産まれる機序を明らかにするため、ETBRの細胞質内ドメインを各々ETARに置換したキメラ受容体をETAR遺伝子座にノックインしたマウスを作製した。その結果、ETARの細胞質内C末端がサブタイプ特異性を賦与する重要なドメインであることを明らかにしてきた。 次に、その分子メカニズムとして、ETBRはET-1結合後に強い脱感作を受け細胞質内に取り込まれた後、リソソームで分解されることを明らかにした。この現象はETBRに特異的で、ETBRの細胞質内C末端をETARに置換すると抑制された。 さらに、Dynamin阻害剤Dynasoreを添加するとET-1刺激による受容体下流シグナルの伝達が抑制されることをin vitroおよびin vivoで示した。このことからET-1結合後の受容体のエンドサイトーシスがシグナル伝達に必要であることが明らかになった。 これらの結果はGPCRのエンドサイトーシスは受容体をリガンドから隔離するための脱感作に加えて、受容体間のサブタイプ特異性や核内シグナル伝達といった受容体の機能に必須の役割を担うことを示唆するものである。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Endothelin receptor type-A expression defines a distinct cardiac subdomain within the heart field, with a later implication of this signaling pathway in chamber myocardium formation.2010
Author(s)
Asai Rieko, Kurihara Yukiko, Fujisawa Kou, Sato Takahiro, Kawamura Yumiko, Kokubo Hiroki, Tonami Kazuo, Nishiyama Koichi, Uchijima Yasunobu, Miyagawa Sachiko, Kurihara Hiroki
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Journal Title
Development
Volume: 137
Pages: 3832-3833
Peer Reviewed
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