2011 Fiscal Year Annual Research Report
血液型病原菌の感染予防を目指した血液型乳酸菌の消化管付着性機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
09J05525
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 真通 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ABO式血液型抗原 / ABCトランスポーター / ヒト大腸ムチン / 付着因子 / 定着 / 消化管 / 乳酸菌 / プロバイオティクス |
Research Abstract |
申請者の所属する研究室で発見された血液型乳酸菌は病原菌の感染防御を目的とした機能性食品への応用に期待されるが、その基礎として重要な消化管付着性機構は十分に解明されていない。これまでに血液型乳酸菌の付着因子であるシステイン結合性ABCトランスポーターの構成タンパク質(Lam29)が血液型糖鎖抗原だけでなく、腸管ムチン層に存在する18-kDaタンパク質にも結合することを明らかにしている。本年度では以下の二点を明らかにした。1.Lam29の認識部位を特定するため、Escherichia coli発現系によりLam29の組換え体を取得した。BIACORE付着性試験において本タンパク質が血液型抗原へ結合することから、組換え体における血液型抗原への付着性を明らかにした。今後、これらのE.coli発現系を用いてLam29の断片化ペプチドを作成し、血液型抗原や18-kDaタンパク質に対する結合性を解析することで、詳細なLam29結合部位を特定できると考えられる。2.0.1%のシステインを添加したMRS培地にて培養した菌体においてLam29の菌体表層での発現が約90%減少した。本菌体を用いてBIACORE付着性試験を行ったところ、コントロール菌体と比べて血液型抗原および18kDaタンパク質いずれにおいても有意に付着減少を示すことから、Lam29がマルチバインディング活性を持つことが明らかとなった。菌体の付着減少率に違いがみられることから、Lam29はタンパク質成分よりも血液型糖鎖への菌体付着に関わる可能性が示唆された。本研究において、Lam29を発現する一部の血液型乳酸菌では血液型抗原などの特定の分子を介した結合よりもむしろ複数の分子に柔軟な選択性を持つことで付着し,その後の定着に関わることが示唆された。今後、このような複数の分子に結合できる血液型乳酸菌を投与することで、同一レセプターを認識する病原菌を競合的に付着阻害し、疾病の予防につなげる新規の機能性食品への応用が大いに期待された。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] New Prevention strategy for inflammatory bowel disease using probiotic lactic acid bacteria and/or bifidobacterium with specific adhesion to human intestine2011
Author(s)
T.Saito, R.Yukishita, M.Watanabe, H.Kitazawa, Y.Kawai, A.Horii, F.Ikezawa, A.Yamamura, H.Ogawa, K.Miura, C.Shibata, I.Sasaki
Organizer
第10回国際乳酸菌会議(LAB10)
Place of Presentation
Netherlands, Egmond aan Zee
Year and Date
20110828-20110901
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