2009 Fiscal Year Annual Research Report
在外日本企業における最適現地化レベルの選択に関する研究
Project/Area Number |
09J05556
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡邉 万里子 慶應義塾大学, 大学院・経営管理研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 現地化 / 制度環境 / 多国籍企業 / 本社-子会社関係 / ナレッジソーシング |
Research Abstract |
本研究の目的は、グローバル企業の海外進出に当たり、国の制度環境(文化・社会・政治・経済的距離)に適合した現地化の在り方を明らかにすることである。本研究の調査対象は、日系多国籍企業において海外直接投資額の大きな米国、中国、欧州(オランダ等)における現地化レベルとパフォーマンスの関係である。本年度は、昨年度に実施した中国での日系多国籍企業の現地化レベルとパフォーマンスの関係に関するパイロット研究を基に論文執筆を行い、論文投稿や学会発表などを通して様々なフィードバックを得ることができた。組織論、国際経営、異文化研究などの多彩な分野の専門家や研究者の方々から実質的な評価やアドバイスを得られた点は、今後の大規模な実証分析の展開において非常に重要な進展であったと考える。ここからの知見を基に、米国、欧州(オランダ等)に進出している日系多国籍企業の現地化とパフォーマンスの関係に関する質問紙調査を設計・配布・回収・分析を今後進展させていく予定である。また、調査対象とした企業のうち、1社を取り上げて定性的なケーススタディを同時に実施した。このことによって先行研究の理論からは伺い知ることのできないマネジメント問題を洗い出し、そこから仮説を導き出す帰納的なアプローチを挟んだ。このケーススタディから導出された命題は、本社-子会社間のソーシャルキャピタルや密接なコミュニケーションが相互の信頼性を高め、子会社の自律性-すなわち現地化や子会社からのナレッジソーシングを促進することが明らかになった。このような本社-子会社のパワー関係、ソーシャルキャピタルの構造的・認知的・関係性的側面なども今後の実証モデルに反映させていくことによって、より多面的な側面から現地化レベルを測定していきたいと考える。
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Research Products
(3 results)