2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05561
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐藤 菜穂子 Tottori University, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 世帯・個人レベルの食料摂取状況 / 自家消費向けの食料生産 / ソーシャル・キャピタル / 経済的ショック |
Research Abstract |
ソーシャル・キャピタルや自家消費可能な食料生産,経済的ショックが世帯・個人レベルでの食料摂取状況に与える影響をIFPRI(International Food Policy Research Institute)や世界銀行が実施した大規模調査の個票データを使用し,簡便な統計手法を用いることによって解明した。具体的には,バングラデシュ都市貧困者居住地域を事例に,切断型ポアソン回帰を適用して,家庭菜園-小規模食料生産-や一時的な経済ショックが女性の食料摂取状況に与える影響を定量的に推計した。その結果,空き地などで小規模な家畜の飼養や野菜・果物生産を行っている世帯の女性ほど,食料摂取状況は良好であるといった知見を得た。一方で,冠水や法外な賃貸料などにより家計がコントロールできなかった経験のある世帯の女性ほど,食料摂取状況が悪いということも明らかとなった。さらに本研究では,インドネシア独立時に大規模な経済ショック(暴動)を経験した東ティモールを事例に,2変量プロビットモデルを適用して,主観的ベーシックニーズ充足度-主観的食料充足度と主観的ヘルスケア充足度-を規定する諸要因を定量的に解明した。特に,主観的食料充足度に関する結果を示すと,(1)世帯主の教育水準が高い,(2)世帯主が男性である,(3)家族員数に占める乳幼児の比率が低い,(4)1人当たり家畜飼養頭数が多い,(5)過去12ヶ月間でコミュニティーグループに参加したことがある,(6)都市・都市近郊部に居住する,(7)NGOなどの機関から食料や農水産業に関する支援を受けたという諸条件を満たす世帯ほど,主観的食料充足度は良好であることが確認された。以上のバングラデシュと東ティモールにおける計測結果を考慮し,なおかつ,発展途上国では短日的に公教育を充実させることが困難であることを勘案すると,自家消費向けの食料生産やマイクロファイナンスなどの拡充によるソーシャル・キャピタルの水準向上が効果的であると推察される。
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Research Products
(2 results)