2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05561
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐藤 菜穂子 鳥取大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 鳥インフルエンザ / 世帯家計支出 / インドネシア / アリサン |
Research Abstract |
インドネシアを事例に、RANDが2007年に実施した大規模調査の個票データを使用して、世帯主の教育水準などの基本属性やその他諸要因を考慮しつつ、鳥インフルエンザが世帯家計支出(食料支出額を含む)に与える影響を定量的に解明した。その結果、世帯主の教育水準が高い、家族員数が多い、非農業部門に就業する家族員がいる、資産売却額が高い、過去12ヶ月間でアリサン(頼母子講)に参加したことがあるという諸条件を満たす世帯ほど、世帯家計支出額が高いことが確認された。さらに、農村部で鳥インフルエンザに感染した家禽類飼養世帯は、鳥インフルエンザに感染していない家禽類飼養世帯と比較して、家計支出額が低いことが明らかとなった。 以上の分析結果に加え、途上国では概してエンゲル係数が高いことを勘案すると、家計支出額を構成する食料支出額についても、概ね同様な傾向があることが推察される。 それでは、食料支出額を含む世帯家計支出額を向上させるためには、如何なる政策が効果的であろうか。分析結果より、非農業部門の雇用拡大や教育水準の向上などが世帯家計支出額向上に寄与すると推察される。しかしながら、一般的に途上国では、雇用拡大や公教育充実の実現には、膨大な時間と費用が必要である。そのため、以上の点を考慮し、短期的な視点に立った時には、各地域の文化や歴史等も考慮しつつ、講などのインフォーマルな金融組織への参加を促すことが、鳥インフルエンザなどのショックを受けた時の家計支出額の低下を抑制すると推察される。
|
Research Products
(2 results)