2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネのジャスモン酸によるフェノール性化合物生産誘導を介した防御応答機構の解明
Project/Area Number |
09J05573
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 崇史 東京大学, 生物生産工学研究センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | イネ / ジャスモン酸 / ファイトアレキシン |
Research Abstract |
申請者らは、イネのフラボノイド型ファイトアレキシン、サクラネチンのエリシター応答的な蓄積がジャスモン酸(JA)依存的であること、培養細胞を用いたマイクロアレイ解析からcpm2ではフェニルプロパノイド生合成系遺伝子の発現が抑制されることを示してきた。そこで本研究ではcpm2等を用い、菌接種実験を行うことでイネの病害抵抗性発現におけるJAによるフェノール性化合物生産誘導を介した病害抵抗性発現機構の解明を行い、JAの生理的意義を明らかにすることを目的とした。昨年度行ったイネのJA生合成変異株cpm2を用いた解析に引き続き、本年度はJAシグナルの活性本体と考えられるJA-イソロイシン結合体(JA-Ile)の生合成変異候補株について詳細な性状解析を行い、これがJAの生理機能解明のための有用なツールとなることを示した。また、この変異体を用い、イネにおいてJA、特にJA-Ileは植物体表面を物理的に強固にする事で病原菌感染を抑制していることを示唆し、イネのJAによる病害抵抗性発現機構に新たな知見をもたらした。更にイネの主要ファイトアレキシンの一つであるサクラネチンがJA-Ile依存的に生産誘導されることを示すと共に、その生合成酵素OsNOMTの単離同定にも成功した。NOMTの単離は何人もの研究者が10年以上前から試みてだれも成功しなかった困難な研究課題であったが、抽出材料と精製法に工夫を加えることによりわずか1年で目的を達成した。また更にOsNOMTがJA応答性を示すことも確認された。今後、JAによるOsNOMT発現制御機構を追究することで、病害応答におけるJAシグナル伝達機構解明の足がかりとなる知見が得られることが期待される。
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Research Products
(3 results)