2009 Fiscal Year Annual Research Report
光学格子中フェルミ原子気体のBEC-BCSクロスオーバー領域における超流動の崩壊
Project/Area Number |
09J05589
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
荒畑 恵三子 Tokyo University of Science, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低温量子物性 |
Research Abstract |
本研究課題はBCS-BECクロスオーバー領域における光学格子中Fermi原子気体の超流動の性質の解明を目的としている。 本年度はその第一段階として、一様系におけるFermi原子気体に着目した。近年Feshbach共鳴を用いた相互作用の制御により超流動の性質が超伝導に代表されるBCS理論的なものから分子ボソンのBECの超流動へと連続的に移行する現象の観測が可能になった。クロスオーバーの過程で通過する散乱長の発散点(ユニタリー極限)では、流体力学極限が成立することが実験的に確認されており、超流動体を超流動成分と常流動成分の二流体に分離したLandauの二流体モデルに基づく理論解析が可能である。超流動の性質の解明にむけて超流動Fermi気体の性質を色濃く反映する第二音波の伝播に着目した。第二音波はLandauの二流体モデルからその存在が示唆されるが、ユニタリー極限におけるFermi原子気体では第二音波は励起されないと、従来考えられてきた。しかし、密度揺らぎとして第二音波が励起される可能性が残るため、第二音波の伝播についてLandauの二流体モデルを用いてユニタリー極限の超流動Fermi気体にパルス波を照射した場合の第二音波の伝播について研究を行った。その結果、従来観測されないと考えられていた第二音波が、ユニタリー極限において密度揺らぎの応答として観測され得ることを明らかにした。この結果は従来観測されないと考えられてきた音波の観測を促すものであり、超流動の性質の解明という点で重要な意味を持つ。
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Research Products
(2 results)