2009 Fiscal Year Annual Research Report
多核錯体による基質の協同活性化を活用した新規触媒反応の開発
Project/Area Number |
09J05595
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前川 雄亮 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エステル交換反応 / クラスター / 亜鉛 / 触媒 / 添加剤 / 化学選択性 / エステル / アシル化 |
Research Abstract |
亜鉛四核クラスター触媒を用いるエステル交換反応におけるアミン及び求核性複素環化合物の添加効果に関する研究エステル化合物は多くの有機物に存在する重要な構造であり、その効率的な合成法の研究は重要である。触媒的エステル交換反応は取り扱い容易な低級エステルと1モル当量程度のアルコールから目的とするより複雑な構造を有するエステルを合成出来るため、有力なエステル合成法の一つである。 申請者らの研究グループではトリフルオロ酢酸で架橋された亜鉛四核クラスターがエステル交換反応に対して触媒活性を有する事を見出し、その温和な条件による官能基共存性やアミノ基の存在下でも水酸基を選択的にアシル化する特異な化学選択性を報告している。 この研究過程において申請者は新たにアミンの共存下に置いては当該エステル交換反応が著しく加速されることを見出し、少量のアミンを添加することで本反応の改良を行った。これまで反応が困難であった立体的に嵩高いエステルやアルコールから高収率で目的のエステルへの変換に成功した。 さらに添加剤の研究を検討した結果、求核性を有する一部の複素環化合物が、アミンを大きく上回る添加剤効果を有する事を見出した。この効果の発見により、添加剤を加えない場合にはごく僅かにしか反応が進行しないような反応基質の場合においても、90%を超える高い収率でのエステル化合物の変換を達成することができた。 このような効果は、通常の単純な金属化合物には無い、本亜鉛四核クラスターに特徴的なものであることから、本研究を継続することによって金属クラスターを触媒として用いる化学反応について新たな知見が得られることが期待される。現在、なぜこのような反応の活性化が起きるのかについて、機構解明の研究を行っている。
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Research Products
(8 results)