2010 Fiscal Year Annual Research Report
LDL受容体mRNAの分解抑制による高コレステロール血症改善の分子基盤解明
Project/Area Number |
09J05600
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八代 拓也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | LDL受容体 / 高コレステロール血症 |
Research Abstract |
近年、HepG2細胞において、AICAR (5-aminoimidazole-4-carboxamide ribonucleoside)という化合物がLDL受容体mRNA量を増加させると報告された。申請者がそのメカニズムを解析したところ、AICARによるLDL受容体mRNA量の増加は、転写に起因するのではなく、mRNAの安定化に起因することが明らかとなった。 これまでに申請者は、LDL受容体mRNAに結合する因子としてAUF1 (ARE/Poly(U)-binding degradation factor)とHuR (Human antigen R)を同定している。AUF1,HuR共にLDL受容体mRNAに結合して、その分解を抑制することが示されていることから、AICARによってこれらの因子の結合能が変化する可能性が考えられた。そこで、AICARで処理したHepG2細胞におけるLDL受容体mRNAとの結合量を解析した結果、AICARおよびHuR共に、AICARによってLDL受容体mRNAへの結合が増加することが示された。 AICARによるLDL受容体mRNAの安定化が、生体におけるLDL代謝に反映されるかについて解析するため、高コレステロール血症状態にしたハムスターにAICARを投与した。その結果、AICARを投与した群で、血中LDL値の低下が認められた。 以上の結果から、AICARによってAUF1およびHuRのLDL受容体mRNAへの結合が増加してmRNAが安定化すること、またmRNAの増加はLDLのクリアランスを亢進させることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)