2010 Fiscal Year Annual Research Report
酵母Yarrowia lipolyticaのアルカン誘導性転写制御機構の解析
Project/Area Number |
09J05615
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 哲 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルカン / Yarrowia lipolytica / 遺伝子発現制御 / ホスファチジン酸 |
Research Abstract |
アルカン資化性酵母Yarrowia lipolyticaにおいて、アルカン応答の最下流部分の分子機構は明らかになりつつあるが、アルカンのよさな疎水性の高い物質がどのように細胞に認識されるのかは不明である。アルカン応答の負の転写制御因子であるYas3pがアルカンの存在により局在を変化させることから、Yas3pの局在変化の分子機構を解明することでアルカン応答の上流部分の分子機構を明らかにできると考え、以下の実験をおこなった。 1.Yas3pのリガンドの探索 これまでに、BiacoreおよびProtein-lipid overlay assayによりYas3pが膜脂質であるホスファチジン酸(PA)と結合することを示唆していたが、これらの手法はPAの細胞内での状態を正確に反映しているとは限らないため、より細胞内での状態に近いと考えられるリポソーム中のPAに対する結合を調べることとした。その結果、Yas3pはPAの濃度依存的にリポソームに結合することが示された。 2.PAホスファターゼ遺伝子の破壊株の解析 これまでに、PAホスファターゼ遺伝子を破壊すると、アルカン資化に関わるP450ALKをコードする遺伝子の発現量が増加することが示されており、これについてさらに詳細な解析をおこなった。その結果、この破壊株ではYas3pの作用するcis-エレメントであるARE1を介した転写がオレイン酸を炭素源とした場合に大きく増加すること、またこの場合に細胞内のPAの割合が増加していることが示され、細胞内のPA量がYas3pの局在に影響することが示唆された。 3.Yas3pのPA結合領域の特定 Yas3pのPA結合領域を特定するために、Yas3pの部分変異体を作製しPAとの結合について調べた。その結果、Yas3pはアミノ末端側およびカルボキシル末端側の少なくとも2ヵ所でPAと結合することが示唆された。 以上の結果からアルカン応答と膜脂質との関連性が明らかとなった。
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Research Products
(4 results)