2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ胸鰭上皮形成の発生・進化メカニズム
Project/Area Number |
09J05636
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢野 十織 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鰭 / 四肢 / 発生 / 進化 |
Research Abstract |
当該研究課題の目標は、魚類胸ビレの発生・形態形成を広く明らかにし、相同器官である四肢動物の手足との相違点を見い出すことにある。特に胸ビレの発生では上皮の形態形成が特徴的であることから、本年度は主に胸ビレにおける上皮の形態形成機構について研究を行った。 ○胸ビレ末端上皮構造の形成機構 ヒレの末端の上皮(AF)の形態形成機構について解析を行った。ヒレや四肢おいて、細胞の増殖が器官の成長・発生の主要な要因であることはこれまで多くの先行研究により明らかとされてきたが、本研究でヒレAFの形態形成時にはほとんど細胞増殖が見られないことを明らかとした。さらにAF伸長時期には、AFを構成する上皮の細胞形態が球形からタイル状へと変形し、これがヒレ特異的な機構である可能性を見い出し、5月の国内学会にて報告を行った。上記の内容も含め、3年間の本研究課題の集大成として現在国際誌への論文投稿中である。またこれに先立って、ヒレと四肢の形態差を生みだす分子機構や、ヒレから四肢への進化についての考察を行い国際誌に受理された(Yano and Tamura, 2012)。 ○ゼブラフィッシュ尾ビレの再生機構(派生研究) 上記のように本研究課題では胸ビレを実験材料にして「形づくりのメカニズム」の解明を目指し、細胞の増殖や細胞形態変化といった機構によって期間が形成されることが分かった。一方で、こうした形態形成機構のもう1つの重要な要因として、これら細胞増殖・細胞形態変化を調節するような上位のメカニズムによって、適切な期間に適切な量の増殖や細胞形態変化がおこることが予想されるがその分子実態についてはこれまでの発生学・再生学研究ではまだ明らかにされていない。そこでゼブラフィッシュの尾ビレが切断されても生涯を通して元通りの形に再生できることを足がかりに、形の再生メカニズムひいては発生・再生共通の形態形成機構について解析した。本研究では再生時に尾ビレの形が元に戻らない変異体を見い出し、これについて国際学会(11月)・国内学会(12月)でそれぞれ報告を行った。
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Research Products
(8 results)