2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ胸鰭上皮形成の発生・進化メカニズム
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09J05636
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢野 十織 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒレ / 四肢 / 発生 / 進化 |
Research Abstract |
当該研究課題では、魚類が持つヒレ構造の発生メカニズムを調べ、四足動物の相同器官である四肢の発生メカニズムとの相違点や進化について明らかにする。今年度は研究実施計画の通り「上皮」と「間充織」という2つの観点から研究を行った。まず上皮に関しては、ヒレ特有の上皮構造であるapical fold(以下AF)の形成過程や、AFがヒレ発生に及ぼす影響について解析を行った。AFは2つの異なる構造に区別できることを示し、特に先端部AFがヒレ発生において重要であることを見い出した。さらにヒレを形づくる発生メカニズムやその原因分子の本体を突き止めるべく、細胞形態の変化や遺伝子発現について現在解析を進めている。次に間充織に関しては、遺伝子組み換え個体を作成し、間充織細胞の可視化をした。四足動物の四肢未分化間充織細胞で活性を有するPrrx1エンハンサー配列をゼブラフィッシュ胚に導入すると、ヒレ未分化間充織細胞でも活性が見られた。このエンハンサー配列は魚やカエル、マウスのいずれの動物種のゲノムから抽出したものを利用しても同様の活性が見られ、ヒレ・四肢に共通のメカニズムの一端を垣間見ることができた。さらにヒレ特有の鰭条骨を形成する予定領域にもPrrx1エンハンサー活性を持った細胞集団が存在したことから、Prrx1エンハンサーは間充織の細胞起源に因らずヒレ構造を作る上で制御されることが予想された。このように上皮と間充織の両面からヒレの発生機構の解析を行ってきており、当該研究における土台となるデータが数多く集まってきている。またこれらの知見はヒレの発生のみならず、四肢発生や再生研究への展開が期待され、申請者本人がこれら派生研究を既に開始しはじめている点では申請以上の進展がなされたと言える。
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Research Products
(4 results)