2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05638
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細田 弥生 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 甲状腺機能低下症 / 遺伝的背景 / 抵抗性遺伝子 / QTL解析 |
Research Abstract |
コンディショナルノックアウトマウスを作製するために作製したターゲティングベクターをES細胞にエレクトロポレーション法を用いて導入した結果、TPST1 KOにおいて8個、TPST2 KOにおいて15個のneo耐性コロニーが得られた。しかしながら、PCR法とサザンハイブリダイゼーション法を用いて相同組換えを確認した結果、相同組換え体は検出されなかった。 また、本研究の一部としてTpst2遺伝子の自然発症変異を有するDW/J-grtマウスも対象に研究を行っていたが、このマウスの異常症状である甲状腺機能低下症(CH)が遺伝的背景の影響を強く受けることを発見した。即ち、遺伝的背景がDW/JあるいはC57BL/6Jの時はTpst2遺伝子のgrt変異に伴うCH症状が強く現れるが、遺伝的背景を129系統に置換すると症状が殆ど現れなかった。マウスの遺伝子操作に用いられるES細胞は多くが129系統由来であることから、129系統がCHに対して抵抗性を示すという現象は129系統の甲状腺研究への使用に注意を喚起するとともに、TSHRシグナル非依存性の甲状腺発達および機能を示唆するという点で極めて重要である。 この結果を受け、129系統におけるCHに対する抵抗性遺伝子座の同定およびそのメカニズムを明らかにすることを目的として、grt変異を有するDW/J系統と129系統のバッククロス個体を用いて、CHに伴う体重低下を指標にquantitative trait loci(QTL)解析を行った。その結果、主な抵抗性遺伝子座は第2染色体上のD2Mit62とD2Mit304間に限局することが示唆された。また、コンジェニックマウスを作製した結果からも、体重及び甲状腺低形成の重篤度の両方に影響が認められた。以上の結果から、129系統のTpst2^<9rt>によるCHに対する抵抗性は少なくとも第2染色体上の104.0~154.3Mb間に位置し、かつ、抵抗性遺伝子はTSHシグナル非依存性の甲状腺発達に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)