2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05659
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
齋藤 雅子 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高IgE症候群 / 樹状細胞 / IL-10 / アレルギー / サイトカイン |
Research Abstract |
高IgE症候群は、血清IgE高値、黄色ブドウ球菌による皮膚・肺の感染症、重症アトピー性皮膚ならびに骨・歯牙異常を主症状とする原発性免疫不全症である。我々は、この疾患がシグナル伝達分子STAT3の遺伝子変異によるサイトカイン・シグナル伝達障害病であることを明らかにした。しかし、本症例におけるアレルギー症状や骨・歯牙異常がどのようなメカニズムによって引き起こされるのかは未解決である。そこで本研究では、患者末梢血サンプルから各種免疫細胞を単離し、サイトカイン反応性、活性化能、抑制能、増殖能、サイトカイン・ケモカイン産生能などの機能解析をおこない、アレルギー病態誘導の機構を明らかにすることを目的とした。アレルギー反応を惹起する要因としてあげられるのが、ヘルパーT細胞サブセット(Th2細胞)からのIL-4産生過剰などがある。我々は、まず、naive CD4陽性T細胞をTh2誘導条件下で刺激したときのTh2細胞への分化を評価した。その結果、高IgE症候群では、健常人と比較し、Th2細胞への著しい分化は認められなかったことから、Th2細胞分化障害によるアレルギー病態誘導の可能性は否定的である。 次に、我々は、Th2細胞の分化誘導を調節している樹状細胞に着目し、患者末梢血から分離した単核球から樹状細胞を分化させ、さらにIL-10を含む抑制性サイトカインによる抑制性樹状細胞への分化障害の有無を調べた。その結果、高IgE症候群の樹状細胞ではIL-10のシグナル伝達障害により、樹状細胞表面上の抑制因子の発現上昇が認められず、抑制性樹状細胞への分化が障害されていることが分かった。このIL-10誘導型制性樹状細胞が、naiveなT細胞に対しどのように作用して、増殖あるいはサイトカイン産生の調節をしているのかを明確にし、高IgE症候群ではこの樹状細胞がどのように働いているのかということを検討していくことが、今後の大きな課題の1つである。
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Research Products
(1 results)