2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05659
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
齋藤 雅子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高IgE症候群 / 樹状細胞 / 制御性T細胞 / アレルギー / サイトカイン / STAT3 |
Research Abstract |
I型高IgE症候群(STAT3異常症)におけるアトピー性皮膚炎発症のメカニズムを検討するため、IL-10のシグナル伝達異常に着目した。健常人では、単球由来樹状細胞(Monocyte deriveddendritlc cell: MoDC)に比較して、IL-10で処理した単球由来樹状細胞(IL-10-MoDC)では、PD-L1,PD-L2,ILT-3,ILT-4などの抑制性分子の発現上昇が認められたが、本症候群のIL-10-MoDCでは、これら抑制性分子の発現上昇が障害されていた。また、健常人のIL-10-MoDCと共培養した健常人のナイーブCD4陽性T細胞はFOXP3の発現を上昇させたが、本症候群のIL-10-MoDCでは健常人のナイーブCD4陽性T細胞に対するFOXP3発現上昇を誘導できなかった。さらに、健常人のIL-10-MoDCで誘導されたFOXP3陽性T細胞は、他のT細胞の増殖とTh1/Th2サイトカイン産生を抑制したが、本症候群のIL-10-MoDCで誘導されたT細胞には、このTreg活性が認められなかった。また、健常人のIL-10-MoDCとナイーブCD4陽性T細胞を共培養する際にPD-L1,ILT-4,またはTGFβの中和抗体を加えておくことでFOXP3の発現上昇が抑制されたことから、FOXP3の発現上昇にはPD-L1,ILT-4,およびTGFβが重要であることが示唆された。以上の結果より、高IgE症候群では、樹状細胞のIL-10シグナル伝達障害により、抑制性樹状細胞の分化障害と誘導性の制御性T細胞(iTreg)の機能異常によりアトピー性皮膚炎と高IgE血症が発症する可能性が考えられた。この機序により高IgE症候群における高IgE血症、アトピー性皮膚炎発症の少なくとも一部が説明できる可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)