2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05679
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
二村 雅子 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 資本と負債の区別 / 連結会計 / 少数株主持分 |
Research Abstract |
連結会計における資本と負債の区別に関する研究を行っている。資本と負債の区別はひいては損益計算に影響を及ぼすため検討する意義がある。先行研究におけるサーベイの結果より、少数株主持分(非支配持分)は資本と負債の境界にあると理解できる。それ故、少数株主持分に着旨している。 本年度は、第1に、アメリカにおける初期の連結貸借対照表において少数株主持分がどのように表示されていたのかについて検討を行った。第2に,経済的単一体説を検証するモデルについて検討を行った。 第1の検討に関して、1920年代までの年次報告書を見る限りでは,資本あるいは中間項目として表示されることが多く,少なくとも負債として表示することは一般的ではなかった。経済的単一体説が唱えられるようになる前であったにも関わらず,むしろ資本に含めて表示していた事例がみられた。 その理由について検討を行った結果,連結財務諸表を作成するための当時の会計処理方法との関連が浮かび上がった。連結財務諸表の作成方法を説明した初期の文献では,単純に親会社と子会社の貸借対照表の金額を合算し,子会社の資本も連結上の資本として連結貸借対照表に示すものがあった。親会社の資本とは区別しなければならないという意識の芽生えの中で,親会社資本とは区別して資本として表示することを指摘する文献が存在した。初期の連結貸借対照表での資本表示は,現代の経済的単一体説とは異なり,親会社と子会社の資産と資産,負債と負債,資本と資本をそれぞれ単純に合算するという初期の連結貸借対照表の作成方法がもたらしたように思われる。 第2の検討について,オールソンモデルは親会社の将来キャッシュフローに基づいたモデルである。それゆえ,親会社と子会社をグループとしてみなす経済的単一体説を分析する際においては被説明変数を親会社の企業価値だけではなく,子会社の企業価値も加える必要があると思われる。
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Research Products
(5 results)