2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05679
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
二村 雅子 Nagoya University, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 資本と負債の区別 / 連結会計 / 少数株主持分 |
Research Abstract |
連結会計における資本と負債の区別に関する研究を行っている。資本と負債の区別に取り組む理由は、ひいては損益計算に影響を及ぼすため重要であるだけでなく、会計基準のコンバージェンスが進められている中で、日本基準を国際基準に合わせていくという流れにおいて検討することに意義があると考えるからである。 先行研究のサーベイより、少数株主持分(非支配持分)は資本と負債の境界上の項目として意見がわかれていたと理解できる。それ故、少数株主持分に着目して研究に取り組んでいる。 本年度は、理論的検討および制度的検討を行った。わが国の連結財務諸表制度が親会社説を強く反映したものとなっていた要因について、制度導入当時のアメリカの状況を把握するという観点から文献研究を行った。その結果、アメリカにおける当時の実務の状況が、わが国の連結財務諸表の制度設計に大きく影響したと考えられる。 当時のアメリカの文献では、親会社説と経済的単一体説が対比されて議論されていたものの、少数株主持分の連結貸借対照表における表示区分でみた場合、経済的単一体説のほうが優勢であったと考えられる。例えば、負債として分類しているものとしてKohler (1938)、Kaluza, Leonard, Furneaux(1971)があり、中間項目として分類しているものとしてBennett(1922)、Johnson(1948)、Karrenbrock & Simons(1955)、Chaykin & Zimering(1958)、Griffin, Williams, and Welsch(1966)があり、資本として分類しているものとしてKester(1925)、Rorem(1928)、Moonitz(1944)、Childs(1949)、Sapienza(1960)、Bedford, Perry, & Wyatt(1961)、Moonitz & Jordan(1964)、Lauderdale(1966)、Simons & Karrenbrock(1968)があった。これに対し、連結貸借対照表において、少数株主持分を資本に含めて表示する実務は極めて限られていたという集計結果がAICPAのAccounting Trend and Techniquesに示されていた。 以上の内容について、International Conference on Business, Economics and Information Technology 2010において口頭発表を行った。また、日本の連結財務諸表の歴史について、とりわけ少数株主持分の表示についてAsian Academic Accounting Association 10^<th> Annual Conference Doctoral Colloquiumにおいて口頭発表を行った。
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Research Products
(2 results)