2009 Fiscal Year Annual Research Report
丹沢地域のツキノワグマニアリアルタイム衛星追跡実験とエコロジカルネットワーク策定
Project/Area Number |
09J05689
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
土光 智子 Keio University, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ツキノワグマ / Ursus thibetanus / ニアリアルタイム衛星追跡 / エコロジカルネットワーク / 富士 / 丹沢 / WebGIS / モデリング |
Research Abstract |
本研究は2ヵ年で首都圏近郊に位置しながら大型野生ほ乳類が生息する富士丹沢地域において、ツキノワグマ(Ursus thibetanus)を対象種にエコロジカルネットワークの策定を提案することを目標とする。具体的には、I.丹沢地域のツキノワグマのニアリアルタイム衛星追跡実験、II.移動経路・障害物などの解析およびエコロジカルネットワークの策定と評価、III.WebGIS技術を応用した地域政策立案システムの構築という3つの段階に準じて研究を進めている。平成21年度においては、上記3段階のうち、1段階目と2段階目までを完了することを目標とした。 I.丹沢地域のツキノワグマのニアリアルタイム衛星追跡実験においては、2009年9月に丹沢清川村にてツキノワグマの雌個体1頭へ衛星追跡装置であるGPS付ARGOSを装着することができた。9月19日から10月23日まで106箇所の地点で位置情報を自動取得し、ツキノワグマの生息地を利用する行動パターンと日周期の分析を行った。衛星追跡システムとフィールドワーク手法とを組み合わせた新しい手法を検討し、生息密度が低い丹沢地域において、捕獲され奥山に放獣された個体がどのように振舞うのかをモニタリングすることにより、生息地選択、移動経路の解析に必要な情報収集ができた。また、自動撮影カメラによる現地モニタリングも実施した。II.移動経路・障害物などの解析およびエコロジカルネットワークの策定と評価では、いくつかのシナリオに基づき、エコロジカルネットワークの最適な位置を空間的に把握することが目標である。既往研究の追跡(14頭)の結果を踏まえて、ツキノワグマの生息確率予測モデルを開発し、地域個体群ごとの生息頭数を推定した。第三段階であるWebGIS技術を応用した地域政策立案システムの構築も本年度に着手し、システムのプロトタイプの試作を国際学会で発表した。
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Research Products
(9 results)