2009 Fiscal Year Annual Research Report
重金属性不良土壌における食糧生産を目指した重金属低吸収モデル植物の創製
Project/Area Number |
09J05716
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西田 翔 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トランスポーター / ニッケル / 亜鉛 / 鉄 / マンガン / タカネグンバイ / 形質転換 |
Research Abstract |
本研究は、ニッケル耐性植物であるタカネグンバイから単離された、ニッケル耐性に関与する養分トランスポーターTjZNT1/TjZNT2の機能の解明を通してタカネグンバイのニッケル耐性機構を解明すること、さらにこれらのトランスポーター遺伝子を利用しニッケル低吸収植物を開発することを目的としている。本年度においては、タカネグンバイに外来遺伝子を導入する際、近縁種であるグンバイナズナの形質転換法はタカネグンバイには適用不可であることを確認したため、組織培養法を基本とした独自の形質転換技術を新たに開発した。現在、本法を用いてTjZNT1/TjZNT2のRNAi導入植物体の作成準備を行っている。また、先立ってRNAi植物の解析に必要である^<63>Niの吸収実験系の確立を行った。一方、TjZNT1の発現部位を解析するために、TjZNT1のプロモーター領域をinverse PCR法により単離し、βグルクロニダーゼ(GUS)に連結した融合遺伝子を導入した形質転換タカネグンバイを作成した。その結果、葉脈と根の組織全体に強いGUS発現が認められた。また、TjZNT1の発現応答を半定量PCRにより検討したところ、亜鉛欠乏時に強く誘導されることが明らかとなった。これらのことから、TjZNT1はニッケルの誤輸送を起こすことなく選択的に亜鉛を土から吸収し葉への分配を行うことができると考えられた。一方、これまで不明であったTjZNT2の基質を、異種発現系を用いて検討したところ、鉄とマンガンの輸送体であることが明らかとなった。この結果を受け、現在TjZNT2の発現パタンの解析を進めている。さらにTjZNT2のアミノ末端領域に、鉄、マンガンと亜鉛を選択する新規の基質選択領域の同定に成功した。本発見に関しては解析が終了しており、現在論文投稿中である。
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